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まず、以下の2パターンのQRコードを用意し、最新のiPhoneとAndroidの標準カメラアプリで読み取り可能かテストしました。
[1. 左右反転のQRコード]
[2. 左右反転 + 上下逆さま]
驚くべきことに、すべてのQRコードが、iPhone・Androidともに問題なく一瞬でスキャンされ、正しいリンク先が表示されました。
QRコードが「360度どの方向からでも高速に読み取れる」という基本性能と、今回検証した「反転しても読み取れる」という性能は、同じ技術に基づいています。
QRコードの三隅にある、大きな四角い**「ファインダーパターン」(切り出しシンボル)**が、この高度な読み取りの鍵を握っています。これは、いわばQRコードにとっての「目印」です。
スマートフォンのカメラアプリは、QRコードを写すと、まずこの3つのファインダーパターンを探します。そして、その3点の位置関係から、QRコードが現在どのような状態にあるかを瞬時に計算します。
そして、データを読み取る直前に、ソフトウェア内部で画像の向きや歪みをリアルタイムで正常な状態に補正し、それからデータをデコード(解読)しているのです。
歪みを補正する機能はアライメントパターンと呼ばれます。
例えるなら、カメラが鏡文字や逆さまの文章を読んだ瞬間に「これは反転している」と理解し、頭の中で正しい向きに直してから意味を理解するような、高度な処理が行われているため、私たちは向きを気にせずスキャンできるのです。
「スマホで読めるなら、デザインに合わせて反転させても問題ないんだ!」と考えるのは、非常に危険です。以下の重要な注意点を必ず理解してください。
この高度な補正機能は、あくまで近年の高性能なスマートフォンの標準カメラに搭載されているものです。
以下のような環境では、反転したQRコードは従来通り「読み取り不可」となる可能性が非常に高いです。
不特定多数のユーザーが利用する印刷物や、ビジネスの取引で使う場合は、絶対にQRコードを反転させてはいけません。
正常な向きのQRコードに比べ、反転したQRコードは「向きを補正する」という一手間が加わるため、コンマ数秒レベルですが、読み取り速度が低下する可能性があります。
自撮りカメラの画面で左右反転して見えるのは、鏡を見ているのと同じ感覚にするための「プレビュー(表示)」上の演出です。実際にスキャン処理される画像は、正しい向きのものが使われるため、問題なく読み取れます。QRコードを自撮りカメラで読み取るために、わざわざ画像を反転させる必要は一切ありません。
技術の進化は目覚ましいですが、バーコードの規格に準拠した正しい使い方をすることが、誰にとっても確実で安心な情報伝達の基本となります。
QR WORLD(QRワールド) 編集部