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QRコードの仕組みを徹底解説!模様の意味や読み取りの原理まで紹介

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普段何気なく使っているQRコード。キャッシュレス決済、Webサイトへのアクセス、友達追加など、私たちの生活に欠かせない存在となっています。しかし、あの白黒の正方形のパターンが、どのようにして情報を伝え、スマホで瞬時に読み取れるのか、その「仕組み」を詳しくご存知でしょうか? この記事では、「QRコードの仕組み」を知りたいあなたのために、以下の点を分かりやすく解説します。 ・QRコードが情報を格納する基本的な原理 ・特徴的なパターン(ファインダーパターンなど)の役割 ・データがどのようにコード化されているか ・汚れや破損に強い「誤り訂正機能」とは ・スマートフォンなどがQRコードを読み取るプロセス この記事を読めば、QRコードを見る目が変わり、その技術の奥深さに驚くはずです。

QRコードの仕組みその1:情報を格納する「セル」

QRコードは、セルと呼ばれる白と黒の小さな正方形の集まりで構成されています。

この白黒のセルが、コンピューターが理解できる「0」と「1」のバイナリデータに対応しており、これが情報を表現する基本単位となります。黒いセルが「1」、白いセルが「0」といった具合に(あるいはその逆で、これは読み取り時に判断されます)、膨大な量の0と1を二次元的に配置することで、数字、アルファベット、漢字、URLなど、様々なデータを格納できるのです。

QRコードのセル

QRコードの仕組みその2:重要なパターン

QRコードには、単にデータを並べるだけでなく、正確な読み取りを助けるための重要な以下のパターンが配置されています。

  • ファインダーパターン(切り出しシンボル)
  • アライメントパターン
  • タイミングパターン
  • フォーマット情報(形式情報)
  • バージョン情報

それぞれについて解説します。

ファインダパターン(切り出しシンボル)

ファインダパターン

場所

QRコードの四隅のうち3箇所にある、大きな「回」のような正方形のパターン。

役割

  • QRコードが画像内のどこにあるかを検出する。
  • QRコードの向き(上下左右)を特定する。
  • QRコードのおおよそのサイズを判断する。

このパターンがあるおかげで、360度どの向きからでも、斜めから撮影しても、コードを正確に認識できます。

アライメントパターン

アライメントパターンの例

場所

ファインダーパターンよりは一回り小さい「回」のようなパターン。コードのバージョン(サイズ)が大きくなると、複数配置されます。

バージョンが低い場合は右下から配置されます。

なお、開発当初のQRコードモデル1にはアライメントパターンがありませんでした。

参考記事: QRコードのモデル1・モデル2とは?見分け方や特徴を解説

役割

QRコードが歪んでいる場合でも、座標を正確に補正する。特に大きなQRコードや、曲面に印字されたQRコードを読み取る際に重要です。

タイミングパターン

タイミングパターンの例

場所

2つのファインダーパターンを結ぶように配置された、白黒のセルが交互に並んだ線状のパターン(L字型)。人間の目では他のセルに紛れて規則正しいタイミングパターンが認識しにくいですが、実は画像の赤いセルように規則正しく並んでいます。

役割

各セルの中心座標を特定するための基準線となります。これにより、どこが何行何列目のセルなのかを正確に把握できます。

フォーマット情報(形式情報)

フォーマット情報(形式情報)

場所

ファインダーパターンのすぐ近く。

役割

QRコードの「誤り訂正レベル」(後述)と、後述する「マスクパターン」の種類に関する情報を格納しています。読み取りの初期段階でこの情報を取得し、その後のデータ解析に利用します。

バージョン情報

QRコードのバージョン

場所

バージョンはQRコードの一辺あたりのセル数で確認することができます。

例である上記の画像のQRコードは29x29セルなのでバージョンは「3」です。

参考記事: QRコードのバージョンとは?データ容量から確認方法まで徹底解説

役割

バージョンが大きいほど、格納できるデータ量が多くなります。

QRコードの仕組みその3:データはどのように格納されるのか?

QRコードに格納したい情報(URL、テキストなど)は、以下のステップを経てセルパターンに変換されます。

  1. データ分析: まず、入力されたデータが数字、英数字、バイナリ(8ビットバイト)、漢字のどれに最適かを判断します。
  2. エンコード(符号化): 選択されたモードに従って、データを効率的なビット列(0と1の並び)に変換します。例えば、数字モードなら数字3桁を10ビットで表現するなど、データ形式に応じて最適な方法が使われます。
  3. 誤り訂正符号の付加: 後述する「誤り訂正機能」のための冗長なデータを生成し、元のデータビット列に追加します。
  4. データ配置: 誤り訂正符号を含むビット列を、QRコードの規格で定められたルールに従って、セル領域に順番に配置していきます。ファインダーパターンなどの機能パターンを避けながら、効率的に埋めていきます。
  5. マスキング処理: 特定のパターン(例えば、広範囲に同じ色が続くなど)は読み取りエラーを引き起こしやすいため、「マスクパターン」と呼ばれる8種類のパターンのいずれかを適用して、全体の白黒セルのバランスが良くなるように最終調整します。どのマスクパターンを使ったかは「フォーマット情報」に記録されます。

QRコードの仕組みその4:QRコードの驚くべき「誤り訂正機能」

QRコードの大きな特徴の一つが、誤り訂正機能です。これは、コードの一部が汚れたり、破損したりして読み取れなくなっても、データを復元できる仕組みです。

  • 原理: データと一緒に「リード・ソロモン符号」と呼ばれる特殊な冗長データを付加しています。この冗長データを使えば、元のデータの一部が失われても、計算によって復元することが可能です。
  • 4つのレベル: QRコード作成時には、以下の4段階の誤り訂正レベルを選択できます。
    • レベルL: 約7%まで復元可能
    • レベルM: 約15%まで復元可能
    • レベルQ: 約25%まで復元可能
    • レベルH: 約30%まで復元可能
  • トレードオフ: 誤り訂正レベルを高くすると、汚れや破損には強くなりますが、その分格納できるデータ容量は少なくなります。用途に応じて適切なレベルを選択することが重要です。

名刺やチラシなどに使用する分には基本的には「レベルM」、屋外や反射・汚れ・欠損などがある状況ではレベルQ/Hを検討するとよいでしょう。

参考記事: QRコードの誤り訂正機能とは?概要から活用方法まで徹底解説

誤り訂正レベルを指定できる無料のQRコードジェネレーター

QRコードの仕組みその5:スマートフォンはQRコードをどう読み取るのか?

私たちがスマホのカメラでQRコードを読み取る際、内部では以下のような処理が高速で行われています。

  1. 画像取得: カメラでQRコードを含む画像を撮影します。
  2. パターン検出: 画像の中から、まずファインダーパターンを探し出し、QRコードの位置、向き、サイズを特定します。
  3. 歪み補正: アライメントパターン(もし存在すれば)やファインダーパターンを使って、画像の歪みや傾きを補正します。
  4. 座標特定: タイミングパターンを基準にして、各セルの正確な座標を決定します。
  5. フォーマット情報読み取り: フォーマット情報を読み取り、誤り訂正レベルとマスクパターンを把握します。
  6. データ抽出(ビット化): 各セルの白黒を判別し、「0」と「1」のビットデータに変換します。
  7. マスク解除: フォーマット情報で特定されたマスクパターンを元に戻し、元のデータ配置を得ます。
  8. データ分離と誤り訂正: ビットデータを、元のデータ部分と誤り訂正符号部分に分離します。もし読み取りエラー(汚れや破損による)があれば、誤り訂正符号を使ってデータを修復します。
  9. デコード(復号化): 修復されたビットデータを、エンコード時(データ格納時)と逆の手順で、元の情報(URL、テキストなど)に変換します。
  10. 表示・実行: 復元された情報を画面に表示したり、URLならブラウザで開いたり、といったアクションを実行します。

これら一連の処理が、私たちがシャッターを押してから(あるいはカメラをかざしてから)一瞬のうちに行われているのです。

参考記事:

iPhoneで画面上のQRコードを読み取る方法【写真・画像対応】

無料でAndroidスマホ上のQRコードを読み取る方法

まとめ:QRコードは高度な技術の結晶

QRコードの仕組みについて解説しました。単なる白黒の模様に見えるかもしれませんが、その裏側には、

  • 効率的なデータ表現
  • 正確な読み取りを支援する機能パターン(ファインダー、アライメント、タイミング)
  • データ破損に強い誤り訂正機能(リード・ソロモン符号)
  • 読み取りやすくするためのマスキング処理

といった、高度な技術が凝縮されています。

普段何気なく利用しているQRコードが、このような精密な仕組みで成り立っていることを知ると、より一層その便利さや技術の進歩を感じられるのではないでしょうか。次にQRコードを使う際には、ぜひそのパターンに隠された「仕組み」にも思いを馳せてみてください。


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参考記事: 【こんなこともできる!】QRコードでできること16選

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QR WORLD(QRワールド) 編集部

QRコード・バーコードの生成・読み取りシステムを開発してきた経験からお役立ち情報を発信しています。

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