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まずは、両者の違いを比較表で見てみましょう。これを見るだけで、基本的な違いはすべて理解できます。
両者の最も大きな違いは、「何のために使われるか」という利用目的です。
JANコードは、私たちが普段スーパーやコンビニで目にする、商品そのものに印刷されたバーコードです。 これは、小売店のレジ(POSシステム)で読み取り、「どの商品を、いくらで販売したか」を管理するために使われます。つまり、消費者に商品を1つずつ販売するためのコードです。
一方、ITFコードは、商品がいくつかまとめて入った段ボール箱(集合包装)に印刷されます。 これは、工場から物流センター、店舗への納品といった流通過程で使われます。倉庫の作業員がスキャンすることで、「どの商品が、何個入った箱を、いくつ入庫・出庫したか」を効率的に管理できます。つまり、商品の”かたまり”を物流段階で管理するためのコードです。
JANコードが「商品1つひとつの名札」だとすれば、ITFコードは「商品が入った段ボール箱の荷札」です。役割が全く違うため、使い分けが必要なのです。
利用目的が違うため、バーコードの構造や見た目にも特徴的な違いがあります。
このように、ITFコードは中身の商品のJANコード情報を含んでおり、「どの商品が何個入っているか」を管理できる仕組みになっています。
※物流識別コードを加えた後にチェックデジットは再計算する点に注意が必要です
ITFコードの最も分かりやすい見た目の特徴は、バーコードの上下、あるいは四方を太い黒枠線で囲んでいる点です。
この枠線を「ベアラーバー(Bearer Bar)」と呼びます(ベアラバーとも)。段ボールのような荒い面に印刷しても印字品質を安定させたり、倉庫などで斜めからスキャンしても読み取りエラー(桁落ちなど)が起きにくくなったりする役割があり、物流現場で確実に読み取るための重要な工夫です。
A. はい、推奨されません。 もし段ボールにJANコードが印刷されていると、小売店のレジ担当者が、中の商品ではなく、誤って箱のJANコードをスキャンしてしまう可能性があります。これを防ぐため、物流用の箱にはITFコード、単品商品にはJANコードという明確な使い分けが定められています。
A. ITFコードは、JANコードのように申請して取得するものではありません。自社で割り当て済みのJANコードを元に、GS1のルールに従って事業者自身が作成(設定)します。
JANコードの申請についてはこちらの記事をご参照ください。
ITFコードとJANコードの違いを、もう一度簡潔にまとめます。
この2つのバーコードを正しく使い分けることが、商品の生産から消費者の手元に届くまでの、サプライチェーン全体の効率化を支えています。
QR WORLD(QRワールド) 編集部