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ITFコードとJANコードの違いとは?【用途・桁数・見た目を徹底比較】

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商品の流通に携わっていると、「JANコード」と「ITFコード」という2種類のバーコードを目にすることがあります。 「どちらも商品に関連するバーコードのようだけど、何が違うの?」 「段ボール箱と商品そのもので、なぜバーコードを使い分ける必要があるの?」 このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。この2つのコードは、見た目も役割も明確に異なり、正しく使い分けることがスムーズな物流と販売の鍵となります。 この記事では、ITFコードとJANコードの決定的な違いを、「目的」「構造」「見た目」の観点から、初心者の方にも分かりやすく徹底比較します。

結論:一目でわかる!ITFコードとJANコードの違い

まずは、両者の違いを比較表で見てみましょう。これを見るだけで、基本的な違いはすべて理解できます。

項目
ITFコード
JANコード
主な用途
集合包装(段ボール箱など)
単品商品
利用される場所
物流センター、倉庫
小売店のレジ(POS)
正式名称
インターリーブド2 of 5
ジャパニーズアーティクルナンバー
標準桁数
14桁
13桁
表現できる文字
数字のみ
数字のみ
見た目の特徴
太い枠線(ベアラーバー)がある
枠線はない

>>【基本記事】ITFコードとは?規格や特徴、用途をわかりやすく解説

決定的な違いは「利用目的」:物流用か、販売用か

両者の最も大きな違いは、「何のために使われるか」という利用目的です。

JANコードの目的:単品を「販売」するため

JANコードは、私たちが普段スーパーやコンビニで目にする、商品そのものに印刷されたバーコードです。 これは、小売店のレジ(POSシステム)で読み取り、「どの商品を、いくらで販売したか」を管理するために使われます。つまり、消費者に商品を1つずつ販売するためのコードです。

JANコードはPOSシステムのため

ITFコードの目的:かたまりを「輸送・管理」するため

一方、ITFコードは、商品がいくつかまとめて入った段ボール箱(集合包装)に印刷されます。 これは、工場から物流センター、店舗への納品といった流通過程で使われます。倉庫の作業員がスキャンすることで、「どの商品が、何個入った箱を、いくつ入庫・出庫したか」を効率的に管理できます。つまり、商品の”かたまり”を物流段階で管理するためのコードです。

ITFコードは集合包装用

【例えるなら…】 

JANコードが「商品1つひとつの名札」だとすれば、ITFコードは「商品が入った段ボール箱の荷札」です。役割が全く違うため、使い分けが必要なのです。

構造と見た目の違い

利用目的が違うため、バーコードの構造や見た目にも特徴的な違いがあります。

1. 桁数と情報構造

  • JANコード(13桁):
  • ITFコード(14桁): JANコードを元に、以下のように構成されます。
    • 物流識別コード(中身の入り数などを示す)(1桁目)
    • 中身の商品のJANコード(2~13桁目)
    • チェックデジット(誤読防止の数字)(14桁目)

このように、ITFコードは中身の商品のJANコード情報を含んでおり、「どの商品が何個入っているか」を管理できる仕組みになっています。

JANコードに一桁加えたものがITF

※物流識別コードを加えた後にチェックデジットは再計算する点に注意が必要です

>> JANコードに関する解説

>> 無料オンラインチェックデジット計算ツール

2. 見た目の特徴「ベアラーバー(Bearer Bar)

ITFコードの最も分かりやすい見た目の特徴は、バーコードの上下、あるいは四方を太い黒枠線で囲んでいる点です。

この枠線を「ベアラーバー(Bearer Bar)」と呼びます(ベアラバーとも)。段ボールのような荒い面に印刷しても印字品質を安定させたり、倉庫などで斜めからスキャンしても読み取りエラー(桁落ちなど)が起きにくくなったりする役割があり、物流現場で確実に読み取るための重要な工夫です。

ITFのベアラーバー

ITFコードに関するよくある質問(Q&A)

Q. 段ボール箱に、中の商品と同じJANコードを印刷してはいけませんか?

A. はい、推奨されません。 もし段ボールにJANコードが印刷されていると、小売店のレジ担当者が、中の商品ではなく、誤って箱のJANコードをスキャンしてしまう可能性があります。これを防ぐため、物流用の箱にはITFコード、単品商品にはJANコードという明確な使い分けが定められています。

Q. ITFコードはどこで登録・申請するのですか?

A. ITFコードは、JANコードのように申請して取得するものではありません。自社で割り当て済みのJANコードを元に、GS1のルールに従って事業者自身が作成(設定)します。

JANコードの申請についてはこちらの記事をご参照ください。

まとめ: ITFコードとJANコードの違いについて

ITFコードとJANコードの違いを、もう一度簡潔にまとめます。

  • 役割: ITFは物流用(段ボール)、JANは販売用(単品商品)
  • 場所: ITFは倉庫や配送センター、JANは小売店のレジ
  • 見た目: ITFには太い枠線(ベアラーバー)がある

この2つのバーコードを正しく使い分けることが、商品の生産から消費者の手元に届くまでの、サプライチェーン全体の効率化を支えています。

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QR WORLD(QRワールド) 編集部

QRコード・バーコードの生成・読み取りシステムを開発してきた経験からお役立ち情報を発信しています。

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