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DataMatrix(データマトリックス)とは?概要から作成・読み取り方法まで解説

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バーコードやQRコードと並び、さまざまな業界で活用されている「DataMatrix(データマトリックス)」。 特に、小型ながら大量の情報を格納できる特性から、医療、製造、物流など幅広い分野で利用されています。 本記事では、DataMatrixの基本的な概要や特徴、用途、種類、作成・読み取り方法、そしてQRコードとの違いについて詳しく解説します。 DataMatrixの仕組みを理解し、ビジネスや業務効率化に役立てましょう。

DataMatrix(データマトリックス)とは?

概要

DataMatrix(データマトリックス)は、2次元バーコードの一種で、正方形または長方形のドットパターンで情報を表現するコードです。特に小さなサイズでも高い情報密度を持つことから、物流、製造業、医療分野などで機器などに直接マーキングする方法として広く利用されています。

Data MatrixにはECC000~140の古いバージョンと、現在使用されているECC200があります。

従来のバージョンでは歪み補正機能がありませんでしたがECC200で追加されています。

特徴

  • 高いデータ密度: 小さなスペースに多くの情報を格納可能。
  • エラー訂正機能: 誤り訂正コードが備わっており、部分的に欠損しても復元可能。
  • 小型サイズに対応: 他のバーコードと比べて小さくても読み取れるため、小型製品のラベルなどに適用可能。
  • 全方向スキャン可能: どの方向からでもスキャンでき、柔軟な運用が可能。

誰が開発した?

DataMatrixは、1989年に米国の企業 International Data Matrix, Inc.(ID Matrix) によって開発されました。その後、国際標準化が進み、現在ではISO/IEC 16022規格に準拠しています。

名称の由来

「DataMatrix」という名称は、データ(Data)と行列(Matrix)を組み合わせたものです。

Matrix(マトリックス)は「母体・基盤」や数学的な「行列」を意味し、DataMatrixのコードが行列構造で情報を保持することを表しています。

用途

DataMatrixは、以下のような分野で活用されています。

  • 製造業: 部品や製品の管理、シリアルナンバーの追跡
  • 医療業界: 医薬品の識別、医療機器の管理
  • 物流業界: 荷物のトラッキング、配送管理
  • 航空業界: 航空部品の識別、メンテナンス管理

使える文字は?

DataMatrixは、ASCII文字(英数字や記号)やUnicode文字、バイナリデータ(画像や暗号化情報など)を格納できます。特にECC200規格では、最大で 3,116文字の数字 または 2,335文字の英数字 を格納可能です。

DataMatrixの用途は?何に使われる?

DataMatrixは米国を中心に広まっている二次元バーコードで、主に以下のような用途で利用されます。

  • 製造業: 部品管理やシリアルナンバーの刻印
  • 医療分野: 医薬品の管理や識別
  • 物流: パッケージ管理や倉庫管理
  • 航空・宇宙産業: 小型部品の識別やメンテナンス情報の記録
  • 食品業界: 食品トレーサビリティの管理

特に高い情報密度で印刷に必要な面積が小さくて済むことから物品や機器への直接のマーキングに利用されます。


筆者の身近なところでDataMatrixは利用されていました。

Amazonから届いた荷物の荷札に4つDataMatrixのようなマーキングがあったのでQR TOOLのバーコード読み取り機能を利用して読み取ったところ全てDataMatrixで間違いありませんでした。

[実際に届いたAmazonの荷札]

DataMatrix付きのAmazon荷札

4つのDataMatrixシンボルは角度が90°ずつ違いましたが中身は同じ英数字でした。

ちなみに荷札にはその他にCODE128とQRコードも付いていました。

CODE128とQRコードの中身は同じものでしたがDataMatrixの中身とは違いました。

バーコードの一種、CODE128に関する解説はこちらをご参照ください。

QRコードに関する基礎知識はこちら

DataMatrixの種類とその違い

DataMatrixには、形状や規格によっていくつかの種類があります。

Data Matrixの種類

正方形タイプ

最も一般的なDataMatrixの形状で、正方形のマトリックス構造を持ちます。通常は10×10から144×144セルまでのサイズがあり、用途に応じて選ばれます。

長方形タイプ

横長の形状を持つDataMatrixで、スペースの制約がある場合に使用されます。例として、8 × 18 セルから16×48セルのサイズがあります。

GS1 DataMatrix

使用されるシンボルは通常のDataMatrixと同じですが、GS1標準に準拠したルールで作成され、医薬品や食品の識別用途に用いられます。国際的な流通管理で利用されることが多いです。

DataMatrixシンボルの構成

DataMatrixのシンボル(コード)はL字型のアライメントパターンが特徴的です。それぞれの部分に役割がありますが、以下のような要素で構成されています。

アライメントパターン

シンボルを認識するための基準点です。QRコードで言うところの3つの目の部分(ファインダパターン・切り出しシンボル)のような役割です。

アライメントパターン

クロックパターン

タイミングパターン、ブロークンボーダとも呼ばれる点線のように見える部分のことで、アライメントパターンと合わせてコードの位置を認識するためのものです。

クロックパターン

クワイエットゾーン

DataMatrixの周囲に配置される空白領域で、適切な読み取りを確保するために必要です。どの程度空白が必要かは規定されていませんが、1セル分は開けるようにしましょう。

クワイエットゾーン

誤り訂正符号(リードソロモン符号)

DataMatrixのシンボルが一部かけていても内容の読み取りを可能にするもので、リードソロモン符号という形式が採用されています。14%から最大39%程度が欠損しても読み取ることができる可能性があります。

DataMatrixでは誤り訂正レベル自動で選択されるので、シンボルの作成者が自由に選ぶことはできません。

この仕組みはQRコードでも誤り訂正機能と呼ばれL/M/Q/Hの4段階で、QRコードの場合は作成時に自由に設定可能です。

QRコードの誤り訂正機能について

DataMatrixのサイズ

DataMatrixは情報密度が高く、QRコードと比較しても印刷サイズは小さくで大丈夫という特徴があります。

DataMatrixを印刷するサイズを考える時、プリンターの精度とスキャナー側の精度が関係しますがここでは 1セルあたり0.4mmとして考えます。

印刷するサイズを最小の10 × 10 セルとすると以下の式で1辺のサイズが求まります。

10セル × 0.4mm = 4mm

一方、QRコードは最小21セルです。同じく1セルあたり0.4mmとして考えると以下の通りです。

21セル × 0.4mm = 8.4mm

このように最小サイズで考えると1辺の長さが2倍以上の変わることがわかります。

DataMatrixとQRコードのサイズ比較

QRコードの最小サイズ・推奨サイズについて

DataMatrixの格納できるデータ量・文字数

DataMatrixに格納できるデータ量は、サイズによって異なります。以下の表の通りです。

DataMatrix正方形タイプのサイズと容量

コードサイズ
数字
英数字
バイナリ
誤り訂正能力
10 × 10 セル
6
3
1
25%
12 × 12 セル
10
6
3
25%
14 × 14 セル
16
10
6
28 ~ 39%
16 × 16 セル
24
16
10
25 ~ 38%
18 × 18 セル
36
25
16
22 ~ 34%
20 × 20 セル
44
31
20
23 ~ 38%
22 × 22 セル
60
43
28
20 ~ 34%
24 × 24 セル
72
52
34
20 ~ 35%
26 × 26 セル
88
64
42
19 ~ 35%
32 × 32 セル
124
91
60
18 ~ 34%
36 × 36 セル
172
127
84
16 ~ 30%
40 × 40 セル
228
169
112
15 ~ 28%
44 × 44 セル
288
214
142
14 ~ 27%
48 × 48 セル
348
259
172
14 ~ 27%
52 × 52 セル
408
304
202
15 ~ 27%
64 × 64 セル
560
418
278
14 ~ 27%
72 × 72 セル
736
550
366
14 ~ 26%
80 × 80 セル
912
682
454
15 ~ 28%
88 × 88 セル
1152
862
574
14 ~ 27%
96 × 96 セル
1392
1042
694
14 ~ 27%
104 × 104 セル
1632
1222
814
15 ~ 28%
120 × 120 セル
2100
1573
1048
14 ~ 27%
132 × 132 セル
2608
1954
1302
14 ~ 26%
144 × 144 セル
3116
2335
1556
14 ~ 27%

DataMatrix長方形タイプのサイズと容量

セル数
数字
英数字
バイナリ
誤り訂正能力
8 × 18 セル
10
6
3
25%
8 × 32 セル
20
13
8
24%
12 × 26 セル
32
22
14
23 ~ 37%
12 × 36 セル
44
31
20
23 ~ 38%
16 × 36 セル
64
46
30
21 ~ 38%
16 × 48 セル
98
72
47
18 ~ 33%

[出典: キーエンス バーコード講座]

QRコードは21セルから177セルまでで、誤り訂正レベルは一番下の「L」に設定すれば数字で7,089文字入ります。

DataMatrixも容量は大きく、最大で数字で3,116文字入りますがQRコードと比較すると、最大容量は小さくなります。

QRコードのサイズ(バージョン)とそれぞれの容量について

DataMatrixをWEB上で作成(生成)【オンラインツール】

DataMatrixは、WEB上のオンラインツールを使用して簡単に作成できます。

正方形・長方形・GS1・HIBC全てに対応しています。

オンラインの無料ツール「QR TOOLを利用してDataMatrixを作成することできます。手順は以下の通りです。

  1. QR TOOLの作成ページへアクセス
  2. シンボル化したい文字列を入力
  3. 「保存」ボタンをクリックしてダウンロード
QR TOOLの作成画面

以上の手順で簡単にDataMatrixを作成することができます。以下のような特徴があります。

  • 無料で利用可能
  • アプリ不要(WEB上のツールなので)
  • アカウント登録等も不要
  • Excel/CSVで一括作成可能

DataMatrixをWEB上で読み取り【オンラインツール】

DataMatrixの読み取りに関しても、WEB上の無料オンラインツールQR TOOLを利用することができます。

手順は以下の通りです。

  1. QR TOOLの二次元コード読み取りページへアクセス
  2. カメラを起動するか画像を選択
  3. 読み取り結果が画面に表示されます。

無料・アカウント登録不要で利用可能です。

[1. 読み取りページへアクセス]

読み取りページへアクセス

[2. カメラを起動するか画像を選択]

カメラを起動するか画像を選択

[3. 読み取り結果が表示されます]

読み取り結果が表示されます

DataMatrixのQRコードとの違いは?

DataMatrixはQRコードと同じ二次元コードで機能やシンボルのコンセプトで共通点も多くありました。

ここではそれぞれの特徴をまとめたいと思います。

項目
DataMatrix
QRコード
形状
正方形/長方形
正方形のみ
エラー訂正方式
リード・ソロモン誤り訂正
リード・ソロモン誤り訂正
使用分野
工業・医療・物流
汎用・広告
情報密度
高い
DataMatrixと比較すると低い
最大文字数
数字で3,116文字
数字で7,089文字

[QRコードとDataMatrix(同じURL)]

QRコードとDataMatrix

特に印刷する面積に限りがある場合にはDataMatrixを採用するケースも多いようです。

一方、QRコードはiPhoneやAndroidなど広く使われている機器の基本機能で読み取りができるのでより汎用的に利用されています。

まとめ: Data Matrixとは?

Data Matrixは、小型ながら高いデータ密度とエラー訂正能力を持つ2次元バーコードです。

製造、物流、医療などの分野で幅広く利用されており、適切なツールを使えば簡単に生成・読み取りが可能です。

用途に応じて活用し、業務の効率化に役立てましょう。

DataMatrixをオンラインで作成する

DataMatrixをオンラインで読み取り

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QR WORLD(QRワールド) 編集部

QRコード・バーコードの生成・読み取りシステムを開発してきた経験からお役立ち情報を発信しています。

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