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DataMatrix(データマトリックス)は、2次元バーコードの一種で、正方形または長方形のドットパターンで情報を表現するコードです。特に小さなサイズでも高い情報密度を持つことから、物流、製造業、医療分野などで機器などに直接マーキングする方法として広く利用されています。
Data MatrixにはECC000~140の古いバージョンと、現在使用されているECC200があります。
従来のバージョンでは歪み補正機能がありませんでしたがECC200で追加されています。
DataMatrixは、1989年に米国の企業 International Data Matrix, Inc.(ID Matrix) によって開発されました。その後、国際標準化が進み、現在ではISO/IEC 16022規格に準拠しています。
「DataMatrix」という名称は、データ(Data)と行列(Matrix)を組み合わせたものです。
Matrix(マトリックス)は「母体・基盤」や数学的な「行列」を意味し、DataMatrixのコードが行列構造で情報を保持することを表しています。
DataMatrixは、以下のような分野で活用されています。
DataMatrixは、ASCII文字(英数字や記号)やUnicode文字、バイナリデータ(画像や暗号化情報など)を格納できます。特にECC200規格では、最大で 3,116文字の数字 または 2,335文字の英数字 を格納可能です。
DataMatrixは米国を中心に広まっている二次元バーコードで、主に以下のような用途で利用されます。
特に高い情報密度で印刷に必要な面積が小さくて済むことから物品や機器への直接のマーキングに利用されます。
筆者の身近なところでDataMatrixは利用されていました。
Amazonから届いた荷物の荷札に4つDataMatrixのようなマーキングがあったのでQR TOOLのバーコード読み取り機能を利用して読み取ったところ全てDataMatrixで間違いありませんでした。
[実際に届いたAmazonの荷札]
4つのDataMatrixシンボルは角度が90°ずつ違いましたが中身は同じ英数字でした。
ちなみに荷札にはその他にCODE128とQRコードも付いていました。
CODE128とQRコードの中身は同じものでしたがDataMatrixの中身とは違いました。
バーコードの一種、CODE128に関する解説はこちらをご参照ください。
DataMatrixには、形状や規格によっていくつかの種類があります。
最も一般的なDataMatrixの形状で、正方形のマトリックス構造を持ちます。通常は10×10から144×144セルまでのサイズがあり、用途に応じて選ばれます。
横長の形状を持つDataMatrixで、スペースの制約がある場合に使用されます。例として、8 × 18 セルから16×48セルのサイズがあります。
使用されるシンボルは通常のDataMatrixと同じですが、GS1標準に準拠したDaルールで作成され、医薬品や食品の識別用途に用いられます。国際的な流通管理で利用されることが多いです。
DataMatrixのシンボル(コード)はL字型のアライメントパターンが特徴的です。それぞれの部分に役割がありますが、以下のような要素で構成されています。
シンボルを認識するための基準点です。QRコードで言うところの3つの目の部分(ファインダパターン・切り出しシンボル)のような役割です。
タイミングパターン、ブロークンボーダとも呼ばれる点線のように見える部分のことで、アライメントパターンと合わせてコードの位置を認識するためのものです。
DataMatrixの周囲に配置される空白領域で、適切な読み取りを確保するために必要です。どの程度空白が必要かは規定されていませんが、1セル分は開けるようにしましょう。
DataMatrixのシンボルが一部かけていても内容の読み取りを可能にするもので、リードソロモン符号という形式が採用されています。14%から最大39%程度が欠損しても読み取ることができる可能性があります。
DataMatrixでは誤り訂正レベル自動で選択されるので、シンボルの作成者が自由に選ぶことはできません。
この仕組みはQRコードでも誤り訂正機能と呼ばれL/M/Q/Hの4段階で、QRコードの場合は作成時に自由に設定可能です。
DataMatrixは情報密度が高く、QRコードと比較しても印刷サイズは小さくで大丈夫という特徴があります。
DataMatrixを印刷するサイズを考える時、プリンターの精度とスキャナー側の精度が関係しますがここでは 1セルあたり0.4mmとして考えます。
印刷するサイズを最小の10 × 10 セルとすると以下の式で1辺のサイズが求まります。
10セル × 0.4mm = 4mm
一方、QRコードは最小21セルです。同じく1セルあたり0.4mmとして考えると以下の通りです。
21セル × 0.4mm = 8.4mm
このように最小サイズで考えると1辺の長さが2倍以上の変わることがわかります。
DataMatrixに格納できるデータ量は、サイズによって異なります。以下の表の通りです。
[出典: キーエンス バーコード講座]
QRコードは21セルから177セルまでで、誤り訂正レベルは一番下の「L」に設定すれば数字で7,089文字入ります。
DataMatrixも容量は大きく、最大で数字で3,116文字入りますがQRコードと比較すると、最大容量は小さくなります。
DataMatrixは、WEB上のオンラインツールを使用して簡単に作成できます。
正方形・長方形・GS1・HIBC全てに対応しています。
オンラインの無料ツール「QR TOOL」を利用してDataMatrixを作成することできます。手順は以下の通りです。
以上の手順で簡単にDataMatrixを作成することができます。
アカウント登録等も不要なので気軽に試すことができます。
DataMatrixの読み取りに関しても、WEB上の無料オンラインツールQR TOOLを利用することができます。
手順は以下の通りです。
以上の手順で簡単にDataMatrixを作成することができます。
アカウント登録等も不要なので気軽に試すことができます。
DataMatrixはQRコードと同じ二次元コードで機能やシンボルのコンセプトで共通点も多くありました。
ここではそれぞれの特徴をまとめたいと思います。
特に印刷する面積に限りがある場合にはDataMatrixを採用するケースも多いようです。
一方、QRコードはiPhoneやAndroidなど広く使われている機器の基本機能で読み取りができるのでより汎用的に利用されています。
Data Matrixは、小型ながら高いデータ密度とエラー訂正能力を持つ2次元バーコードです。
製造、物流、医療などの分野で幅広く利用されており、適切なツールを使えば簡単に生成・読み取りが可能です。
用途に応じて活用し、業務の効率化に役立てましょう。
QR WORLD(QRワールド) 編集部