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rMQRコード(Rectangular Micro QR Code)は、通常のQRコードよりも横長の形状を持つ二次元コードです。コンパクトなスペースでも高い情報量を保持できるため、医療や製造業などの分野での活用が想定されています。
[rMQRコードの例]
rMQRコードは、デンソーウェーブによって開発されました。デンソーウェーブはQRコードの生みの親でもあり、QRコード技術の進化を牽引しています。
rMQRコードは以下のような用途が想定されています。
rMQRコードは、QRコードと同様に以下のデータを格納できます。
国際規格である、ISOに2022年5月に登録されています。
登録番号はISO/IEC 23941:2022です。
rMQRコードはQRコードに似ていることはもちろんですが、他にも類似点のある二次元コードをいくつかご紹介します。
マイクロQRコード(MicroQRCode)は、通常のQRコードよりも小型で、限られたスペースでも使用できる二次元コードの一種です。1997年に日本の会社であるデンソー(現在のデンソーウェーブ)によって開発されたマトリクス型の二次元コードです。
DataMatrix(データマトリックス)は、2次元バーコードの一種で、正方形または長方形のドットパターンで情報を表現するコードです。特に小さなサイズでも高い情報密度を持つことから、物流、製造業、医療分野などで機器などに直接マーキングする方法として広く利用されています。
PDF417(Portable Data File 417)は、1991年に米国のSymbol Technologies社(現在のモトローラ社)によって開発された2次元コードの一種で、スタック型(積み重ね型)のシンボルが特徴です。
「PDF」は「Portable Data File(ポータブルデータファイル)」の略で、「417」は各コードワードが4つのバーとスペースと17モジュールから構成されていることを意味します。
このように長方形や省スペースの二次元コードは他にも存在しますがrMQRの特徴をこのあとご紹介します。
rMQRは横長の長方形ですがそのコードの中身にはそれぞれ以下のような役割を果たす箇所があります。
QRコードの3隅にある目の部分です。rMQRコードでは左上に大きい目、右下に小さい目が配置され、スキャナがコードの場所を認識するための要素。
歪みを補正し、正しくデータを読み取るための基準点です。QRコードでは右下にありました。rMQRコードでは中央上下に小さく配置されています。
データセルの座標を図るための破線(ドット線)のような部分です。QRコードでは切り出しシンボル(位置検出パターン)を繋ぐように配置されていますが、rMQRコードではほぼ全周に配置されています。
QRコードと同様、誤り訂正機能を搭載しています。データの一部が欠損した時にも一定範囲で復元できるようにする機能です。QRコードではL・M・Q・Hの4段階でしたが、rMQRコードではM(約15%まで修復)・H(約30%まで修復)の2段階で設定できるようになっています。
rMQRコードには通常のQRコードと同様に縦横のドット数を表す「バージョン」が存在します。rMQRコードのバージョンは1から32まであり数字のみで最大1,216文字格納することができます。
通常のQRコードのバージョンは1から40までで数字のみで最大7,089文字格納できます。
rMQRコードのバージョンと誤り訂正レベルごとに格納できる文字数(データ量)のは以下の通りです。
バージョンの後に続くカッコの部分(例えば最大バージョンで: R17x139)は縦に17セル横に139セルを表しています。
※QRコードは最大で177x177セル
rMQRコードはオンラインツールのQR TOOLで簡単に作成することができます。
マイクロQRコードはiPhoneやAndroidのデフォルトのカメラ機能では読み取ることはできないので、専用のQRコードリーダーや以下のような専用アプリをダウンロードしてスキャンしてください。
QRコードの開発をしたデンソーウェーブに紹介されているQRコードリーダーで通常のQRコードの他マイクロQRコードにも対応しています。
iOS、Androidどちらでも利用できます。
出典: デンソーウェーブ
rMQRコードの解説をしてきましたが、QRコードとの違いをまとめると以下のようなになります。
このような違いがあるのでQRコードとは用途に応じて使い分けることが重要です。
rMQRコードは、コンパクトなスペースに適した新しい二次元コードであり、製造業や医療業界などでの活用が期待されています。
QRコードと同じく高いデータ密度と誤り訂正機能を持ち、省スペースで利用可能な点が特徴です。
今後の普及が期待される技術の一つとして注目されています。
QR WORLD(QRワールド) 編集部