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rMQRコードとは?概要/用途から作成・読み取り方法まで解説

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近年、QRコードの進化系として「rMQRコード」が注目を集めています。従 来のQRコードと比べて縦長の形状を持ち、省スペースでの印刷が可能なことから、医療や製造業など幅広い分野での活用が期待されています。 本記事では、rMQRコードの概要や特徴、用途、作成・読み取り方法までを詳しく解説します。 QRコードとの違いについても触れるので、ぜひ最後までご覧ください。

rMQRコードとは?

rMQRコード(Rectangular Micro QR Code)は、通常のQRコードよりも横長の形状を持つ二次元コードです。コンパクトなスペースでも高い情報量を保持できるため、医療や製造業などの分野での活用が想定されています。

[rMQRコードの例]

QRコード・マイクロQRコードとの比較

特徴

  • 省スペース設計:縦長の形状により、狭いスペースでも印刷・表示が可能。
  • 高いデータ密度:小さいサイズながら十分なデータ格納能力を持つ。
  • エラー訂正機能:QRコードと同様に誤り訂正機能を搭載。
  • 多様な用途に対応:製品管理、物流、医療データの記録などに利用される。

誰が開発した?

rMQRコードは、デンソーウェーブによって開発されました。デンソーウェーブはQRコードの生みの親でもあり、QRコード技術の進化を牽引しています。

想定用途(どのように使われる?)

rMQRコードは以下のような用途が想定されています。

  • 電子機器や電子部品
  • 医療業界:患者の診察記録や医薬品の管理
  • 小売・物流業界:部品や商品の管理
  • 広告・出版:チケット、電子決済の認証

使える文字は?

rMQRコードは、QRコードと同様に以下のデータを格納できます。

  • 数字(0~9)
  • 英字(A~Z、a~z)
  • 記号(スペース、$、%、* など)
  • 漢字・ひらがな・カタカナ

規格は?

国際規格である、ISOに2022年5月に登録されています。

登録番号はISO/IEC 23941:2022です。

rMQRコードに似ている二次元コード

rMQRコードはQRコードに似ていることはもちろんですが、他にも類似点のある二次元コードをいくつかご紹介します。

マイクロQRコード

マイクロQRコードの例

マイクロQRコード(MicroQRCode)は、通常のQRコードよりも小型で、限られたスペースでも使用できる二次元コードの一種です。1997年に日本の会社であるデンソー(現在のデンソーウェーブ)によって開発されたマトリクス型の二次元コードです。

マイクロQRコードとは

マイクロQRコードをオンラインで作成する

データマトリックス(長方形)

データマトリックスの例

DataMatrix(データマトリックス)は、2次元バーコードの一種で、正方形または長方形のドットパターンで情報を表現するコードです。特に小さなサイズでも高い情報密度を持つことから、物流、製造業、医療分野などで機器などに直接マーキングする方法として広く利用されています。

データマトリックスとは

データマトリックス(長方形)をオンラインで作成する

PDF417

PDF417の例

PDF417(Portable Data File 417)は、1991年に米国のSymbol Technologies社(現在のモトローラ社)によって開発された2次元コードの一種で、スタック型(積み重ね型)のシンボルが特徴です。

「PDF」は「Portable Data File(ポータブルデータファイル)」の略で、「417」は各コードワードが4つのバーとスペースと17モジュールから構成されていることを意味します。


このように長方形や省スペースの二次元コードは他にも存在しますがrMQRの特徴をこのあとご紹介します。

rMQRコードの構成

rMQRは横長の長方形ですがそのコードの中身にはそれぞれ以下のような役割を果たす箇所があります。

rMQRの構成

位置検出パターン(サブ位置検出パターン)

QRコードの3隅にある目の部分です。rMQRコードでは左上に大きい目、右下に小さい目が配置され、スキャナがコードの場所を認識するための要素。

アライメントパターン

歪みを補正し、正しくデータを読み取るための基準点です。QRコードでは右下にありました。rMQRコードでは中央上下に小さく配置されています。

タイミングパターン

データセルの座標を図るための破線(ドット線)のような部分です。QRコードでは切り出しシンボル(位置検出パターン)を繋ぐように配置されていますが、rMQRコードではほぼ全周に配置されています。

誤り訂正機能

QRコードと同様、誤り訂正機能を搭載しています。データの一部が欠損した時にも一定範囲で復元できるようにする機能です。QRコードではL・M・Q・Hの4段階でしたが、rMQRコードではM(約15%まで修復)・H(約30%まで修復)の2段階で設定できるようになっています。

QRコードの誤り訂正機能とは?

rMQRコードの格納できるデータ量・文字数は?

rMQRコードには通常のQRコードと同様に縦横のドット数を表す「バージョン」が存在します。rMQRコードのバージョンは1から32まであり数字のみで最大1,216文字格納することができます。

通常のQRコードのバージョンは1から40までで数字のみで最大7,089文字格納できます。

QRコードのバージョン一覧と格納できる容量

rMQRコードのバージョンと文字数一覧

rMQRコードのバージョンと誤り訂正レベルごとに格納できる文字数(データ量)のは以下の通りです。

バージョン
誤り訂正レベル
ビット数
数字
英数字
バイナリ
漢字
1(R7x43)
M
48
12
7
5
3
H
24
5
3
2
1
2(R7x59)
M
96
26
16
11
6
H
56
14
8
6
3
3(R7x77)
M
160
45
27
19
11
H
80
21
13
9
5
4(R7x99)
M
224
64
39
27
16
H
112
30
18
13
8
5(R7x139)
M
352
102
62
42
26
H
192
54
33
22
14
6(R9x43)
M
96
26
16
11
6
H
56
14
8
6
3
7(R9x59)
M
168
47
29
20
12
H
88
23
14
10
6
8(R9x77)
M
248
71
43
30
18
H
136
38
23
16
9
9(R9x99)
M
336
97
59
40
25
H
176
49
30
20
12
10(R9x139)
M
504
147
89
61
38
H
264
75
46
31
19
11(R11x27)
M
56
14
8
6
3
H
40
9
6
4
2
12(R11x43)
M
152
42
26
18
11
H
88
23
14
10
6
13(R11x59)
M
248
71
43
30
18
H
120
33
20
14
8
14(R11x77)
M
344
100
60
41
25
H
184
52
31
21
13
15(R11x99)
M
456
133
81
55
34
H
232
66
40
27
17
16(R11x139)
M
672
198
120
82
51
H
336
97
59
40
25
17(R13x27)
M
96
26
16
11
6
H
56
14
8
6
3
18(R13x43)
M
216
62
37
26
16
H
104
28
17
12
7
19(R13x59)
M
304
88
53
36
22
H
160
45
27
18
11
20(R13x77)
M
424
124
75
51
31
H
232
66
40
27
17
21(R13x99)
M
584
171
104
71
44
H
280
80
49
33
20
22(R13x139)
M
848
251
152
104
64
H
432
126
76
52
32
23(R15x43)
M
264
76
46
31
19
H
120
33
20
13
8
24(R15x59)
M
384
112
68
46
28
H
208
59
36
24
15
25(R15x77)
M
536
157
95
65
40
H
248
71
43
29
18
26(R15x99)
M
704
207
126
86
53
H
384
111
68
46
28
27(R15x139)
M
1016
301
182
125
77
H
552
162
98
67
41
28(R17x43)
M
312
90
55
37
23
H
168
47
28
19
12
29(R17x59)
M
448
131
79
54
33
H
224
63
38
26
16
30(R17x77)
M
624
183
111
76
47
H
304
87
53
36
22
31(R17x99)
M
800
236
143
98
60
H
448
131
79
54
33
32(R17x139)
M
1216
361
219
150
92
H
608
178
108
74
46

バージョンの後に続くカッコの部分(例えば最大バージョンで: R17x139)は縦に17セル横に139セルを表しています。

※QRコードは最大で177x177セル

rMQRコードの作成(生成)方法

rMQRコードはオンラインツールのQR TOOLで簡単に作成することができます。

rMQRコードを作成する手順

  1. QR TOOLのrMQRコード作成ページへアクセス
  2. テキストを入力
  3. 必要に応じてバージョン・余白・画像タイプ・誤り訂正レベルを指定
  4. 「保存」ボタンからダウンロード
QR TOOLのrMQRコード作成画面

rMQRコードををiPhoneやAndroidスマホで読み取る方法

マイクロQRコードはiPhoneやAndroidのデフォルトのカメラ機能では読み取ることはできないので、専用のQRコードリーダーや以下のような専用アプリをダウンロードしてスキャンしてください。

クルクルQRコードリーダー

QRコードの開発をしたデンソーウェーブに紹介されているQRコードリーダーで通常のQRコードの他マイクロQRコードにも対応しています。

iOS、Androidどちらでも利用できます。

クルクルQRコードリーダー

出典: デンソーウェーブ

App Store

Google Play

QRコードとrMQRコードとの違いは?

rMQRコードの解説をしてきましたが、QRコードとの違いをまとめると以下のようなになります。

  • rMQRコードは、従来のQRコードと比べて縦長の形状を持ち、省スペースで利用可能な点
  • 最大容量はQRコードの方が多い(rMQRコードも少ないわけではなく、漢字で92文字も格納できます。)
  • QRコードは誤り訂正レベルが4段階(L・M・Q・H)のところrMQRコードは2段階(M・H)
  • 通常のQRコードはiPhoneやAndroid端末の標準カメラで読み取りができるが、rMQRコードは非対応の場合が多い

このような違いがあるのでQRコードとは用途に応じて使い分けることが重要です。

まとめ: rMQRコードとは?

rMQRコードは、コンパクトなスペースに適した新しい二次元コードであり、製造業や医療業界などでの活用が期待されています。

QRコードと同じく高いデータ密度と誤り訂正機能を持ち、省スペースで利用可能な点が特徴です。

今後の普及が期待される技術の一つとして注目されています。

rMQRコードを作ってみる

QRコードの最小サイズについて

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QR WORLD(QRワールド) 編集部

QRコード・バーコードの生成・読み取りシステムを開発してきた経験からお役立ち情報を発信しています。