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PDF417とは?概要から作成方法、読み取り方法について解説

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PDF417は、物流や航空業界などで広く使われる2次元バーコードの一種です。 大量のデータをコンパクトに格納でき、エラー訂正機能を備えているため、高い信頼性を誇ります。 本記事では、PDF417の基本概要から構成、作成・読み取り方法、スマホでの対応可否、さらにMicroPDF417やGS1合成シンボルといった派生規格についても詳しく解説します。 PDF417の仕組みや活用方法を理解し、業務の効率化に活かしましょう。

PDF417とは?

PDF417(Portable Data File 417)は、1991年に米国のSymbol Technologies社(現在のモトローラ社)によって開発された2次元コードの一種で、スタック型(積み重ね型)のシンボルが特徴です。

PDF417は、国際標準物流ラベル(ISO15394)では、EDIデータの標準シンボルに採用されています。

縦横に情報を持つので2次元コードと呼ばれます。バーコードは横方向にしか情報を持たないので、そういった意味ではどちらかといえばQRコードの仲間に近いと言えます。

PDF417の由来

名前の「PDF」は「Portable Data File(ポータブルデータファイル)」の略で、「417」は各コードワードが4つのバーとスペースと17モジュールから構成されていることを意味します。

「PDF417」という名称に「PDF」が含まれていますが、Adobeの「PDF(Portable Document Format)」とは無関係です。PDF417はバーコードの一種であり、ドキュメントフォーマットではありません。

特徴

  • バーコードと比較して高いデータ格納量: 1つのPDF417コードには、最大約1,800文字(英数字の場合)のデータを格納可能。(JANコードは13桁の数字のみ)
  • エラー訂正機能: 読み取りエラーが発生しても、一定の範囲内で修復が可能。
  • スタック型構造: 横方向だけでなく、縦方向にもデータを分割して格納。
  • ライセンスフリー: QRコードと同様に特許料なしで使用可能。

用途

PDF417は、以下のような用途で広く活用されています。

  • 航空券や搭乗券(空港のチェックイン)
  • 運転免許証や身分証明書(アメリカなどで導入)
  • 物流・倉庫管理(出荷・入荷データの管理)
  • 公共機関の書類(税関申告書など)
  • アメリカの電子郵便切手

使える文字は?

PDF417はQRコードと同様に様々な文字をサポートしています。

  • 英数字(A-Z、0-9)
  • 記号(@、#、$など)
  • バイナリデータ(ASCII、UTF-8)
  • 日本語

規格

2000年にISO/IEC 規格に登録、2010年3月には、JISX0508:2010として規格化されています。

PDF417の構成

PDF417の基本構造は以下の要素で成り立っています。

  1. スタートパターン: コードの始まりを示す部分
  2. 左行指示子(レフトローインジケータ): 行番号、シンボル桁数、列数、誤り訂正レベルを表しています
  3. データコード語: 実際のデータが格納される部分(1~30列)
  4. 右行指示子(ライトローインジケータ): 行番号、シンボル桁数、列数、誤り訂正レベルを表しています
  5. ストップパターン: コードの終わりを示す部分
  6. クワイエットゾーン: コードの外側に確保すべき空白部分
PDF417の構成

高さは最小3行、最大で90行です。

ご覧いただいたようにPDF417横長の長方形のような形になります。大きさはQRコードと4倍とも言われています。

PDF417の誤り訂正レベル

PDF417の誤り訂正機能とはシンボルの一部が欠けたり損傷した場合でも正しくデータを読み取るための仕組みです。

シンボル作成時に0 ~ 8までの9段階で指定できます。(QRコードの誤り訂正レベルはLMQHの4段階

リードソロモン方式が採用されています。

誤り訂正レベルによる修復可能なデータコード語の数は、以下のようになります。

誤り訂正レベル
誤り訂正コード語の総数
0
2
1
4
2
8
3
16
4
32
5
64
6
128
7
256
8
512

※推奨レベルは、2 ~ 5

PDF417の作成(生成)方法

PDF417シンボルを作成するには以下のオンラインツールを利用する方法がおすすめです。

QR TOOLを使用した作成方法

  1. QR TOOLのPDF417ジェネレーターにアクセス。
  2. 入力欄にエンコードしたいデータを入力。
  3. 必要に応じてオプションを調整。
  4. 「保存ボタン」ボタンをクリックし、シンボルをダウンロード・保存することが可能です。
QR TOOLでPDF417を作成する

PDF417の読み取り方法

PDF417に対応しているバーコードリーダーは多くありませんがQR TOOLで読み取ることが可能です。

QR TOOLを使用した読み取り方法

  1. QR TOOLのバーコードリーダーにアクセス。
  2. 端末のカメラで読み取る場合は「Start Scanning」をクリック。画像から読み取る場合は「Scan an Image File」をクリックして画像を選択
  3. PDF417コードをカメラにかざしてスキャン。
  4. 読み取ったデータが画面に表示される。

※Mac版Chromeではデータが表示されない不具合があります

PDF417の読み取り画面

PDF417はiPhoneやAndroidなどスマホで読み取れるのか?

結論、デフォルトでインストールされているカメラではPDF417を読み取ることはできません。

前述のオンラインツールを利用するか、専用のバーコードスキャナーを導入することをお勧めします。

コンパクトPDF417とは?

コンパクトPDF417は、PDF417の右側指示子(ライトローインジケータ)を省略し、ストップパターンを1モジュールの幅にしたものです。

[コンパクトPDF417の例]

PDF417の例

通常のPDF417よりもサイズが小さく、印字スペースの制約があり、かつ損傷があまり発生しない場面で使用されます。

コンパクトPDF417

QR TOOLではコンパクトPDF417をオンラインで作成することができます。

QR TOOLでコンパクトPDF417をオンラインで作成する

マクロPDF417とは?

マクロPDF417は、大量のデータを、複数のPDF417に分割し保存したシンボルのことです。

分割して保存することにより、1つのコードに収まりきらない大きなデータも分散して格納できます。

マイクロPDF417(MicroPDF417)とは?

マイクロPDF417(MicroPDF417)は1992年にシンボルテクノロジー社が開発したスタック型の2次元コードです。

[マイクロPDF417の例]

MicroPDF417の例

PDF417を基本に開発されており、スタート・ストップパターンを簡略化、1モジュールの高さを2倍にし、情報密度を向上し省スペースを実現しています。

QR TOOLではマイクロPDF417(MicroPDF417)をオンラインで作成することができます。

QR TOOLでマイクロPDF417(MicroPDF417)を作成してみる

PDF417のGS1合成シンボルとは?

GS1合成シンボルは、PDF417と他のバーコード規格(EAN-13など)を組み合わせたものです。流通業界などで活用され、商品情報やトレーサビリティ情報を統合して管理できます。

GS1とは、商品やサービスの識別コードを国際的に標準化する非営利団体です。

GS1についての解説はこちらをご参照ください。

まとめ: PDF417とは?

PDF417は、大量のデータを格納できる2次元バーコードで、物流、航空業界、身分証明書などさまざまな分野で活用されています。

PDF417の派生規格(MicroPDF417、マクロPDF417、GS1合成シンボルなど)も存在し、用途に応じて最適な形式を選ぶことが重要です。

オンラインツールを使えば簡単に作成・読み取りが可能で、スマホアプリでもスキャンできます。

PDF417シンボルを作成する

PDF417対応のバーコードリーダー

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QR WORLD(QRワールド) 編集部

QRコード・バーコードの生成・読み取りシステムを開発してきた経験からお役立ち情報を発信しています。