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QRコードに必要な余白・マージンを解説!余白がないとどうなる?

カバー写真
QRコードを作成する際、意外と見落としがちなのが余白(マージン)の重要性です。 適切な余白を確保しないと、読み取りエラーが発生したり、ユーザー体験に悪影響を及ぼす可能性があります。 本記事では、QRコードにおける余白・マージンの役割や、余白が不足するとどうなるか、さらに適切なQRコード作成のコツを解説します。 正確かつスムーズに読み取れるQRコードを作るためのポイントを押さえましょう!

はじめに: QRコードの余白・マージンとは?

QRコードは、近年ますます多くの場面で利用されるようになった便利な技術です。

しかし、その作成にはいくつかの注意点があり、その中でも特に見落とされがちなのが「余白」や「マージン」の存在です。

QRコードの余白やマージンとは、コード自体の周囲に配置される「空白スペース」を指します。

QRコードの余白

この余白には明確な役割があり、単にデザインの一部として存在しているわけではありません。

正式には「静的ゾーン」や「クワイエットゾーン」と呼ばれ、この部分が正しく確保されていないと、QRコードが正確に読み取れない可能性があります。

この記事では、この余白・マージンの重要性と、適切に設定する方法について詳しく解説します。

読み取りエラーを防ぎ、誰でも使いやすいQRコードを作成するための基本知識を学んでいきましょう。

QRコードに必要な余白・マージン

ではQRコードにはどの程度の余白が必要なのでしょうか。

結論、QRコードの開発者であるデンソーウェーブのサイトによるとQRコードのコード部分の外側には4セル分の余白が必要です。

出典: QRコードドットコム

セルとはQRコードのドットひとつずつのことで、QRコードはバージョンごとにそれぞれセル数が決まっています。

バージョンとセルの一覧はこちらをご参照ください。

QRコードの余白計算例:

試しに余白を計算します。以下の条件でQRコードを作成します。

  • テキストデータ: https://qr.c-cloud.co.jp/tools
  • 誤り訂正レベル: M
  • 余白を含めた必要なサイズ: 300px × 300px

QRコードを作成するにはオンラインツールのQR TOOLがおすすめです。

QR TOOLでQRコードを作成した結果バージョンは3となりました。

QRコードのバージョンの確認方法

[作成したQRコード]

実験用QRコード

バージョン3のQRコードのセル数は一辺29セルです。バージョンごとのセル数の確認には以下の記事をご活用ください。

バージョンごとのセル数一覧

総セル数は29セル+(4セル×2)= 37セルということになります。

余白幅は37セルの内4セル分です。

よって必要な余白幅は以下の式で求まりました。

300px × (4 ÷ 37) = 約32.4px

QRコードの余白・マージンが無いとどうなる?

QRコードを作成する際、余白が省略されている、または十分に確保されていない場合、次のような問題が発生します。

1. 読み取りエラーが増える

QRコードリーダーは、コード全体を認識する際に余白部分を基準点として使用します。この余白がないと、QRコードの範囲を正しく認識できず、エラーが発生することがあります。

特に、小型のQRコードや背景が複雑なデザインの場合、余白の重要性はさらに高まります。

2. デザインが原因で読み取れなくなる

QRコードをデザインに組み込む際、余白が無視されることがあります。

例えば、背景の画像や色がQRコードに接近しすぎると、コードと背景が視覚的に干渉し、リーダーがコード部分を正確に識別できなくなります。

3. ユーザー体験の低下

QRコードが読み取れない場合、ユーザーは別の方法を探すか、最悪の場合そのサービスを利用しない選択をします。

余白が不足しているQRコードは、見た目の印象も悪く、プロフェッショナルなデザインとして評価されません。


QRコードをスムーズに読み取れるかどうかは、余白・マージンの確保にかかっています。適切な余白を確保することで、利便性と信頼性が向上します。

QRコードの余白・マージンの有無での実験

では実際の生活の中で、QRコードの読み取り性能には余白の有無によってどれだけ変わるでしょうか。

iPhone XR(記事執筆時点で結構古い)の標準カメラを使って試してみます。

実験1: 余白を十分確保

以下のようにQRコードの周りに十分な余白を取った例です。

余白十分のQRコード

結果

当然ですが余白を十分取れば読み取ることができました。

実験2: 余白を小さく取る

続いて余白を推奨の4セル以下にしてQRコードを作成してみました。

推奨セル数以下なのでこれでは読み取りは厳しいでしょうか?

余白不十分のQRコード

結果

予想に反して問題なく読み取りに成功しました。特に苦労することなく読み取りに成功しました。

実験3: 余白をゼロにする

続いて余白をゼロにして試してみました。もはや外枠と一体化してしまっているのでさすがに読み取りは厳しいでしょうか?

余白ゼロのQRコード

結果

なんと!こちらも問題なく読み取りに成功しました。また読み取りもスムーズです。

実験4: 背景も無くす

最終的に背景すら無くしてみました。グラデーションと濃いめの一色の二通りで試します。読み取れない、もしくは流石に読み取りづらいという結果予想しています。

[グラデーション背景のQRコード]

グラデーションQR

[濃い背景のQRコード]

濃い背景のQRコード

※このQRコードはQR TOOLで背景を透過したQRコードを作成し背景画像に重ねて作成しました。

背景を透過したQRコードの作り方の解説はこちらをご覧ください。

結果

二つとも読み取れてしまいました!


実験してみた結果

iPhoneカメラでは全て読み取れてしまったので、追加でオンラインサービスをためしました。

画像からQRコードを検出 | QR TOOL

PCカメラでQRコードを検出 | QR TOOL

実験名
iPhone標準カメラ
画像検出
PCカメラ検出
実験1: 通常
実験2: 余白狭め
実験3: 余白ゼロ
不可
不可
実験4: 背景なし

余白の有無で読み取れないラインを探る意図で実験しましたが、iPhoneでは予想外に全て読み取ることができました。

余白の確保は推奨はされているものの、実際には技術が進み、余白に関しては寛容なのかもしれません。

一方、オンラインQRコード検出サービスでは余白ゼロで背景と一体化している例では読み取りができない結果も確認できました。

よって今回の一連の実験の最終的な結論としては、余白が無い場合でもiPhoneでは問題なかったが、端末によっては結果に差が出る可能性があるということがわかりました。

QRコード作成時の注意点(余白・マージン以外)

余白やマージン以外にも、QRコードを正確かつ使いやすく作成するためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。

以下に、特に重要な注意点を挙げます。

1. コントラストを確保する

QRコードは、白黒のコントラストがはっきりしているほど、正確に読み取られます。

背景色がコードに近すぎたり、色が薄すぎる場合、リーダーが情報を誤認する可能性があります。

特にカラフルなデザインにQRコードを組み込む際は、黒と白、または濃い色と薄い色のコントラストを意識しましょう。

2. ロゴが大きすぎないように

QRコードの中央部分にロゴを入れるカスタマイズが一般的になっています。

例: インスタグラムTikTokLINEなど大手SNSのQRコードでも

QRコードの真ん中(中央)にロゴを入れる方法

しかし、ロゴが大きすぎるとコードの情報部分を覆い隠してしまい、誤り訂正機能ではカバーしきれず、正確な読み取りができなくなります。

誤り訂正機能についての解説はこちらから

ロゴのサイズは、QRコード全体の約20%以内に収めるのが目安です。

3. 適切なデータ量に留める

QRコードにはそのバージョンと誤り訂正レベルごとにデータの最大容量が決まっています。

データを増やすに連れバージョンが大きくなります。

あまりバージョンが大きすぎると、コードが複雑化し、読み取りエラーが増加します。

QRコードのバージョンと格納できるデータ容量一覧

必要最小限のデータを格納するようにしましょう。

もしURLが長すぎる場合には短縮URLを活用するなど工夫が必要です。

まとめ: QRコードには余白・マージンを確保する

QRコードの余白・マージンは、ただのデザイン要素ではなく、正確な読み取りを実現するために欠かせない部分です。

適切な余白を確保することで、読み取りエラーを防ぎ、ユーザー体験を向上させることができます。

QRコードを作成する際には、以下のポイントを押さえましょう。

  • 可能であれば余白・マージンを確保する
  • 白黒のコントラストを意識する
  • 適切なロゴサイズや情報量を守る

独自に実験した結果は余白のルールは守らない場合でもiPhoneでは読み取りができました。

ただし様々な読み取り端末や環境の差を考えると余白は確保するに越したことはありません。デザインとの兼ね合いで調整してみてください!

次回以降、どれだけ背景とのコントラストが必要かという実験も行いたいと思います。

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QR WORLD(QRワールド) 編集部

QRコード・バーコードの生成・読み取りシステムを開発してきた経験からお役立ち情報を発信しています。